神様の瀬

「神瀬」、かみさまの瀬と書いて「コウノセ」と読みます。熊本県球磨村にある集落です。7月4日、七夕の前夜祭には少し早すぎるこの日に、熊本県南の人吉球磨地域に大雨が降りました。線状降水帯がすっぽりと球磨地域に覆いかぶさり400mm/24時間を超える雨が降りました。球磨地域がそのまま流域になる「球磨川」は中流域の人吉市よりもその下流の球磨村・旧坂本村のほうが川幅は狭くなり、急峻になる、不思議な川なのです。下流地域は住める平らな場所が少ないので球磨川、またはその支流の川に沿って集落が形成されています。

 

私は12年前まではその集落のうちの一つ、神瀬 木屋角(きやのすみ) という集落に住んでいました。3年間ほどでしたが、山での林業の仕事、消防団活動、地域のお祭り、毎日の小さな酒屋での小さな飲み会、小さな保育園、アユやウナギを育ててくれる母なる球磨川、昔から集落に住んでおられる地元の方々に暖かく見守られ過ごしました。全てが愛おしく、充実した日々でした。先月も神瀬にある球磨村森林組合に行ったばかりでした。その愛すべき集落は浸水した写真のとおりです。すべての家が被害を受けていると思われます。

 

集団避難されている、そこに住んでいた皆さんはどのような気持ちで今、親類の家や避難所で過ごされているかも私にはわかりません。

 

ただ、私はこの写真を見ると涙が出ます。球磨村でお世話になった人々の顔が思い出されます。